ミシンを購入して間もない頃、上糸をかけるのがめんどくさいと思っていた。
その後、自分が使っているミシンが、60年代の家庭用電動ミシンだということを知った。
電動ミシンの大きな特徴は、ペダルを踏む強さに応じて、速度が決まるということ。単純に、ダダダダダダダーと超スピードで縫う時はペダルを奥まで強く踏む。
ゆっくり、のろのろ縫うのであれば、ペダルを浅く踏む。
そして、その中間が、難しい。ペダルを深くも浅くもなく中間まで踏み込み、その状態をキープしながら一定速度を保ち続けるのが、難しい。
マニュアル車でいうと、クラッチの状態をキープし続けるときの、あの、微妙なペダルの踏み込み方に似ている。
その上さらにめんどくさいことは、上糸を掛けるときに、通過しなければならないカ所が多いこと。
そのめんどくささに気づいたのは、電動ミシンの後に購入した電子ミシンの上糸かけをやってみてのこと。
電動ミシンの後に購入した、電子ミシンの上糸通しは、なんだかとってもラクチンな気がする。この違いは何だろう、と考えてみたら、
電動ミシンの上糸通しは、やたらに糸をいろんなところに引っかけなければならないからだということに気が付いた。
その引っかける作業が、電子ミシンにはない。唯一、厄介なことは、ミシン針の穴に糸を通さなければならないこと。電子ミシンといってもわたしが使っている電子ミシンは70年代もので、現代の電子ミシンとは似ても似つかない。
現代の電子ミシンには自動糸通しなる機能がついていたりするらしい。かつて、針先に糸を通す際にいちいち糸のはじっこを舐めたりしていたのが懐かしくなるだろう。
わたしの電子ミシンはそのような現代ものではないけれど、電動ミシンと比べると、かなり心地よくなったなと実感することができる。
電子ミシンの特徴
上糸通しがらくちん
ペダルの踏み込みにいちいち気を使わなくても、一定速度で縫える
しかし、個人的には電動ミシンがはじめてのミシンでよかったなと思っている。それは上糸かけがめんどくさい反面、上糸の動きが、全部見えるから
例えば、わたしが使っている電動ミシンの上糸のかけ方はこんな仕様。
上糸をひっかける、または通すカ所が、計8カ所もある。慣れればこんなものかと思うのだけれど、最初は、とても労力を必要とした。縫っている間に糸が切れたりすると、また掛けなおさなければならないのも、めんどくさい。
ひるがえって、電子ミシンの仕様は、なんだかとてもすっきりしている。
上糸を引っ掛けるカ所はたったの1カ所。上糸の通る導線が最初から敷かれているので、ただそれに従って上糸を運べばいいようになっている。
しかし、中古の電子ミシン(上のようなモデル)が、なんらかの理由で動かなくなったり、縫い目がおかしくなったりしたとき。まず確認するであろう、上糸について、このモデルだと、ちゃんと確認できないということがわかった。
上糸が通るカ所の大半が隠れているため糸がどのように通っているのかが、まったく見えない。
見えてない部分を赤線でなぞってみた。
そして致命的なことに、この見えてない部分には、自動糸調子機能と天びんの二大重要機能が埋め込まれていることがわかった。縫い目がおかしくなっったとき、縫い目がひきつるとき、縫い目がゆるむとき、殆どの場合、この二か所がちゃんとはたらいているかをチェックする。
でもこのモデルだとチェックしようがない。プラスチックでおおわれてしまっているため、肝心の、機能を担っている部品がみえない。このプラスチックが外側から外れないか、試したのが、ドライバーを使ってねじをまわして、プラスチックを外さないことには外れない。
そして自動糸調子機能にいたっては、なんと、内側からプラスチックがはめ込まれていた。なので、ドライバーで外すことさえでない。
自動糸調子機能の部品に辿り着くためには
①自動糸調子機能の周りのプラスチック(ドライバーで外せるカ所)を外す
②自動糸調子機能の周りの部品を分解する
③自動糸調子機能をおおっているプラスチックを内側から外す
④自動糸調子機能の部品に到達
このような電子ミシンは見た目はすっきりしているのだけれど、悪く言えば、プラスチックの外壁で中の部品がすべておおわれてしまっているため、どこの部品が正常に機能していないのかが、まったくわからない。
そこで、上記の電動ミシンの良さがみえてくる。各所の部品が一目瞭然なので、うまく動かなくなったときに、どこをいじればいいかが、だいたいわかる。
そして縫っている最中にも上糸の動きが見える。糸の張り具合がちゃんとみえたり、おかしな縫い目になった時に、上糸のどこがはずれているかがすぐにわかる。
そしてなによりも、ミシンってこうやって機能しているんだ、ということが目で理解できる。
電動ミシンは確かに、目飛びするし、直線が、がたつくし、カタカタ音もするのだけれど、とても修理がしやすい。
※追記
ところで、自動糸調子に到達するべく、電子ミシンを分解するカ所を、先ほど青わくでかこったのですが。のちに気づいたことに、わざわざここを分解しなくても、自動糸調子機能のプラスチックを内側から外す方法があるかも、と思いやってみた。
ミシン上部をおおっているプラスチックの蓋をあけて、真上からアクセスするという方法。
しかし、この方法、わたしのモデルだと、不可能だった。
自動糸調子の部品をおおっているプラスチックが止めてある、小さなネジに、ほんの数ミリの所で手が届かなかった。なので、やはり、青枠でかこった部分を分解するしか、方法はないよう。