洋裁CADには、部品のファイルにシンプル袖という型紙が入っている。
洋裁CADをインストールした時に、すでにこの型紙が入っていたために、今まで、袖の製図をしたことがなかった。
シンプル袖には5つの数値要素があり、それぞれの数値を変えるだけで、どんなサイズの袖もつくることができる。
シンプル袖の5つの数値
〇袖山高さ
〇前袖山長さ
〇後袖山長さ
〇袖丈
〇袖口長さ
この作業をすれば、袖があっという間に出来上がってしまう。
今までは、わざわざ製図などしなくてもよかったのだ。
最近取り組んでいる、ハイネックニットの袖の型紙にも、このシンプル袖の型紙をつかった。シンプル袖はその名の通り、とてもシンプルなので、袖に動きをつけたいときは、やっぱりデザインを変更することになる。
デザインを変えるなら、このシンプル袖を原型として、製図するのが、一番の近道なのだが、
ふと、袖を原型からつくってみたいなあ
と思った。
思えば、真っ白な紙に原型から型紙をつくるというのは、今までやったことがなかった。
洋裁CADに入っている原型からしか、製図したことがなく、そもそもの原型がどうやってできるのかは、あまり考えてこなかった。
今回は、あえて袖の原型をつくるので、テイラー袖をつくることにした。
テイラー袖は、ふたつのパーツに分かれている。
普通の袖はパーツがひとつなのだが、今回のテイラー袖の原型は、袖上と袖下に分かれる。
テイラー袖を原型から作るためのステップは、大きく分けて3つになる。
ステップ1 原型の骨格となる線をひく
ステップ2 基準点を打つ
ステップ3 基準点を線でつなぐ
ステップ1に入る前に、事前に準備しておく数値がある。
寸法を測っておくのは、肩からひじの長さ、ひじから手首の長さ。それぞれ以下のように腕1、腕2として計算値で定義しておく。腕3は腕1と腕2の長さを足して、肩から手首までの腕の全体の長さとして定義している。
ステップ1 原型の骨格となる線をひく
適当な場所に点を置いて、横線を引く。上では、赤いマーカーで塗った部分が、この横線にあたる。長さは、腕3の長さ。今引いた横線の両側の端点から直角に500mmの縦線を引く。横線の線上、右端から腕2の長さの場所に点を置く。上では、オレンジの線がその長さにあたる。
ステップ1-1で置いた点から直角に500mmの縦線を引く。上では赤線がこの線にあたる。
次に横線の線上、左端点から110mmの場所に点を置き、同じように、直角に500mmの縦線を引く。上では、水色の線がこの線にあたる。
このようにして、原型の骨格をつくっていく。
そして完成した骨格がこれ。
今回はバストが80センチの規定で、原型の骨格を引いた。このバストをもっと厳密に測って、さらに厳密な原型の骨格をつくることもできるけど、それはまた、次回にしようと思う。
原型の骨格ができたら、あとはゆるやかなカーブを引いて、点をつなげていく。はたしてこの型紙がどんな袖の形になるのかは、まったくの未知なのだけれど、いつもと違った袖ができたことで、とりあえず、満足した。