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【既成服から型紙をとるための全工程】お気に入りのオーバーサイズの白シャツから、型紙がとれたときの記録

女の人が洋服の型紙をつくっている姿

 

春先に向けて、シャツをつくりたい

お気に入りのシャツのオーバーサイズ感が好きなので

このシャツから、型紙を取ってみます

 

結果 それなりにきちんと型紙が取れた

 

細かなズレなどは、仮縫い時に再び検証は必要になりそうだけど

 

こんな風に

 

大雑把に、でもいちおそれなりに

型紙をとる

 

という手法が存在してもいい気がする

 

このような、お気に入りを型紙にしていけば

 

立派な自分だけのお気に入り服型紙コレクション

 

という新しい型紙ストックができる

 

 

さて、実際の作業はというと

所要時間、だいたい3時間くらいで【作業はかなり遅い方だと思います】

 

前見頃

後見頃

 

3ピースの型紙がとれました

 

ここからは

写真を多用しながら、型紙をとる手順を解説します

 

 

今回型紙を取りたいシャツ

Maison 123 Paris のサイズ44のシャツ


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事前準備

 

シャツの特徴を確認し、アイロンをかける

 

型紙を正確に取るために、シャツ全体にアイロンをかけます。シワがあると、正確なサイズが取りづらくなるため、アイロンでしっかり伸ばしておく

シャツの特徴を書き出す


型紙を取る前に、シャツのディテールを確認します

• 襟:襟立て付き

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• 前立て:ボタン空き部分にありf:id:HAGIRE:20250304164456j:image

• 袖:カフス仕様

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• 背面:ヨーク

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• 裾:段違い

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型紙を作る際に必要な情報をインプットするのが目的。今回は前後身頃と袖の型紙をとるので、ディテールのピース作りは後日作業になります。

 

ハトロン紙の準備とシャツの固定

 

ハトロン紙の選び方

 

型紙を写すために使うハトロン紙は、横幅105cmのものを選びました。


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横幅が狭いものを選ぶと、つぎはぎをしなければならず、作業が大変になります。

 

実際以前に横幅50㌢のハトロン紙で型紙転写をしたときの苦労が思い出されます

 

シャツを裏返してセットする

 


シャツを裏返します。

 

こうすると縫い代や縫い方が見やすい状態になります。

 

こうすることで、縫い線が可視化されます。転写の際はこの縫い線の上をなぞっていけばより正確に型紙を取ることができるはず。

 

シャツを作業台に固定する

 


裏返しにしたシャツを、テープを使って作業台にしっかりと固定します。

 

 ポイント:まず身頃を固定し、その後に袖を固定する


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型紙を写す(転写作業)

 


ハトロン紙をのせて重りで固定

 

前見頃

 

前身頃の片方(左でも右でもOK)にハトロン紙をのせ、紙がずれないように重りを3か所に置いて固定します。小さな重りをたくさん使うより、重たい重りを少数使う方が安定します。


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ローラーを使って転写する

 


転写には鉛筆やマーカーではなく、ギザギザ刃のローラーを使うのがおすすめです。

 

メリット:紙と服が密着しやすく、細かい線まで正確に写せる。

 

ギザギザ刃は、ソフト刃に比べて、ハトロン紙に深く入り込んでくれるので、紙を服に密着させたまま、ずれることなく線が引ける

 

 

後ろ身頃と袖の型紙

 


前身頃と同じ方法で、後ろ身頃と袖も型紙を取ります。

 

 

袖を写すときのポイント:袖山のシワをしっかり伸ばす。

 

 

 型紙の補正と仕上げ

 


蛍光ペンでラインをなぞる

 


転写した型紙のラインを蛍光ペンでなぞり、見やすくしておく

 

 

ぐにゃぐにゃ定規を使ってカーブを測る

 

今回の型紙とりのさぎょうでかかせない、

 

ぐにゃぐにゃ定規

(自在曲線定規という名称だそうです) 

 

 

このぐにゃぐにゃ定規を使い、実物の(シャツの)各カーブの長さを測って型紙に記入します。

 

測る部分:前身頃の袖ぐり・後身頃の袖ぐり・袖山の長さ

 

 

まずは前身頃のカーブを測る

 


最初に、前身頃の袖のカーブの長さを測ります。

 

ぐにゃぐにゃ定規をカーブに沿わせその長さを型紙に記入します。

 

測った長さをすぐに記入できるように、壁に直接さっき転写した型紙を貼っておくと作業がスムーズになります。

 

 

後ろ身頃の袖のカーブを測る

 


後ろ身頃の袖のカーブのサイズを測る際は、シャツを平らに机に広げ、ボタンをすべて外してシワが寄らないようにセットします。ボタンを閉じたままだと、正しいサイズが測れないので注意が必要です。

 

 

袖のカーブを測る

 

袖山のカーブを測るときは、前みごろと後ろ見ごろの両方のカーブを測ります

 

前身頃の袖山カーブ

 

後ろ身頃の袖山カーブ

 

袖の型紙を新しい紙に転写

 

まず既存の袖の型紙を新しい紙に写します。

 

1.それぞれの袖山のカーブの部分に「前身頃側」「後見頃側」と記入して、識別できるようにしておきます。

2.それぞれの袖山の最も高い位置から裾に向かって、直線を引きます。

3.それぞれの袖の輪郭をカット(あとで縫い代を書き込めるように、輪郭線から5cm程の幅をとったところをカット)

4.前後の袖山の直線を中央で合わせ、テープで貼り合わせます。こうすることで、左右対称の袖型紙が完成します。

 

各線の長さの誤差調整

 

型紙の前と後身頃の肩線の長さが一致しているか確認します。

 

今回の場合、後身頃が16.5cm、前身頃が15cm。

とずれがあったので、

これを16cmに統一しました

 

 

前と後身頃の袖ぐりの長さを調節

先ほど型紙の上に直接記入した数値をみると、

前身頃が26,4cm

後身頃が27cmとあるので、袖ぐりの長を、この長さになるように新しいカーブを描きます

 ここでもぐにゃぐにゃ定規が役に立つ

 

袖山のカーブの長さを調節

 

袖山のカーブは前身頃の袖ぐりと後身頃の袖ぐりの長さと一致させる必要があります

そして、袖山の長さは前と後ろで若干長さが異なることにも注意が必要です

 

記入された数値をみると、前が26,4cm後ろが27cmとあるので、

 

これを前、後袖山にも適応します

 

それぞれの袖山のカーブをぐにゃぐにゃ定規を使って、新しく描きます

 

 

型紙の完成

大雑把ではあるけれど、いちお、型紙がとれた 

今回のような、前開きのシャツだと、前、後身頃の歪みを解消できるので、比較的型紙はとりやすかった

いまのところ、ぐにゃぐにゃカーブ定規が、カーブを測って描くというダブルワークをこなせるので重宝しているが、精密さを求めたら

デジタルのカーブ定規とかになるんだろうか