編み物をはじめるまえに
わたしは洋裁を3年ほど独学している
そして今でもその独学は続いている
この独学の経験を通して
わたしはあることを
痛感している
それは
洋裁をはじめるまえに
そもそも
洋裁の基礎になるいくつかの大前提を
知っておく必要があった
ということだ
洋裁の初心者は身頃がなにかも知らない
市販の型紙を買ってきても
前身頃と後身頃がなんなのかも
わからない
身頃がなんなのかを知らなかったわたしは
自分の体で自分の原型をつくって
身頃とはなんなのかを
自分で発見しなければならなかった
学校に行っていれば
これが身頃ですよ、と
先生がマネキンに服を着せて
おしえてくれただろうと考えると
洋裁の独学は
想像に難くなく
時間と労力をつかう
参考記事:自分の原型をつくったときのはなし
そして編み物である
洋裁の独学で
基礎知識の重要さを
痛感させられたわたしは
編み物の基礎とは一体なんだ
という問いから入った
洋裁の独学のときも
そうだったが
右も左もわからないひとが
何から学び始めるべきなのか
という問いが
今回も同じように
大きな問いになっていた
そこでまずはじめにやってみたこと
そこでまずはじめにやってみたことが
編み図の読解
である
それは編み図の読解は
手をつかわない作業である
という理由からだ
毛糸も棒針も
手元にはあったが
わたしは手を動かす前の
編み物の基礎となる知識を
求めていた
手を使う前の前提知識の発掘には
編み図という
ルールにのっとってつくられた
地図を読解することで
編み物の基礎をみつけだすことができる
と考えたのだ
編み図よりも編み記号と編み方
編み物には
いろんな編み方がある
ということを
編み図が載っている本から
知ることができたのは
編み図を眺めていたからではなく
その編み図に付属している
編み記号と編み方
というだいたい最後のページに
まとめられている参考資料を
入念に眺めまわしているときだった
編み物というのはどうも
毛糸を拾ってかける
ということを永遠に行う作業
ということがわかってきたのだが
この拾ってかける作業を続ける中で
どのような法則に乗っ取って
カタチになっていくのか
がわたしには
まだいまいち
はっきりと
わかってはいなかった
編み物の基礎概念
ここで
編み物の基礎概念とは
なんなのか
という問いが
少し具体的な形を
帯びてくる
まず
編み目を増やしていくことが
編み物をすすめるという動作の
目的である
ということ
そして
その編み目の増え方に
編み物の基礎概念というべき
ひとつのルールが存在しているということ
編み目の増え方はどうも
1段、2段、3段という
段単位のまとまりとして
認識されているらしい
そんなのあたりまえでしょう
全世界の編み物経験者が
いうことであるだろうが
わたしはこれを
一番最初に
知っておきたかった
結構、切実に
ひと目増えるとはどういうことか
編み目をひと目編むことで
なにが増えるか
編み目である
そして今、着目しているのは
その増え方である
編み物の目の増え方を
このような五目並べボードをつかって
再現してみる
編み物の概念を五目並べのボードで再現したら
まず最初に、作り目をつくります
作り目を7目つくりました
Sはスタート地点を表しています
これを1段目とします
では編み始めていきます
1段目の上に
2段目を構成する
という目的で
編み物の概念に従って
2段目のひと目めを編むと
このようになります
次に2段目の2目めを編みます
そして2段目の最後まで編むと
このようになります
編み目は一方方向に増えていく
さてここで
最初の編み物の基礎概念
を発見することになる
それは
編み目は必ず
一方方向に増えていく
ということである
テトリスのように
あちこちに積み上げていくのとは
異なり
編み目は隣の編み目に寄り添うように
増えていく
このような増え方はしない
ということだ
編み物の段はジグザグの道筋を辿る
つぎに、1段、2段、3段と
段を増やしていくことで
編み物のふたつ目の基礎概念
がみえてくる
編み目が辿る道筋をダイアグラムで表すと
このように
ジグザグになっていることが
わかる
この2つの基礎概念をまとめると
編み物の編み目は
一方方向に
ジグザグの道筋を辿って
増えていく
ということになる
ここで注目すべきポイントは
ジグザグの道筋には
必ず
折り返し地点
というのが
存在する
ということだ
そしてこの折り返し地点が
編み物のある矛盾を
生み出す元になっている
ということができるのだ
編み物の表と裏
編み物のある矛盾を深堀する前に
ここでもうひとつ別の基礎概念
みておく
それは
編み物には表と裏がある
ということである
編み物の表
編み物の裏
このように
編み物は、表と裏で
違ったデザインになる
ということができる
そして
編み図というのは
編み物の表しかみせていない
ということを
理解しておかなければならない
編み図=編み物の表側を記号であらわしたもの
編み物には表と裏があるのに
編み図は表しかみせてくれていない
こんなに当たり前のことだけど
編み物をはじめる前は
まったく知らなかった
最後に残された矛盾
以上のこと
編み物の編み目は一方方向にジグザグに増えていく
編み物には表と裏がある
というところまでわかったので
じゃあ編み物は
編み図の通りに
目を一方方向に
折り返しながら
増やしていけば
いいんでしょう
ということになるはずだが
そうはならない
まずここでの
編み図の通りに
というところに
かなりの誤解が
含まれている
なぜならこの解釈は
編み物の動作の概念
が考慮されていないからだ
編んでいる手に対して行くことしかできない編み物の動作
大事になるポイントは
折り返しの部分だ
下の図で見れば
折り返すという動作は
今までやっていた動作を
逆方向に進める
といううことを意味する
このようにみると
編み物の動作は一見
行って戻る動作なのかと
誤解してしまいそうになるのだが
実際上
編み物の動作は
編んでいる手に対して
行くことしかできない
という最大の難点がある
編み物の動作は行くことしかできない
ここで編み物の動作概念が
絡んでくる
編み物の動作は
編んでいる手に対して
常に前にしか進めない
実際の動作として実感するには
編み物をしてみたらいいのでは
あるのだが
ここではこの動作概念を
図で表してみる
どうやって戻るのか
編み物は前に進む動作である以上
前に進むことしかできない(行くことしかできない)
ということがわかったので
具体的には
2段目の折り返す動作は
どうするのか
ということになる
ここで編み物の最後の基礎概念
編み物の折り返しは
編み物を裏側にして解決する
というのがでてくる
折り返しにきたら
編み物を裏返す
ということは
2段目を編み始めるときになったら
編み物を裏返す
ということだ
裏がえしたら
なにができるのかというと
戻る動作を進む動作として
行うことが出来る
のである
編み物の動作は
動作としては
うしろには戻れないので
編み物を裏返すことで
裏からみたら進んでいる動作だが
表からみれば戻る動作をしている
という状態を
つくりだすのである
編み図の通りに編んではいけない
ここで改めて
編み図に戻ると
折り返して戻る作業
つまり、裏にしてすすむ作業をするときは
表側を表している編み図の通りに編んではいけない
ということになる
裏を編んでいるとき(戻っている作業をしているとき)は
編み図に表されている編み模様が
表に現われるように
編み図の記号とは
反対の編み目を
編まなければ
ならない
まとめ~編み物の7つに基礎概念~
編み物を本格的に始める前に
これらの基礎概念をおさえておくと
編み物の知識や技術を深めていく上で
とても役立つベースになるはず
- 編み物の編み目は一方方向にジグザグに増えていく
- 編み物には表と裏がある
- 編み物の動作は編んでいる手に対して前しか進めない、戻るという動作はできない
- 編み物の編み図は編み物の表しか表していな
- 編み物には必ず折り返し地点がある
- 編み物の折り返し地点では編み物を裏側にする
- 編み物の裏を行く動作で編むことで戻る動作を行う