IKEAと糸とマリ・クレール

生まれも育ちも郊外だったせいか、目新しいものや考え方がとても好きだ。

 

郊外という環境は関係ないといわれるかもしれないが、個人的には郊外というのは、一種、特殊な環境だと思っている。

 

少し閉鎖的な側面があるのも確かで、(もちろん、昔の郊外のはなし。それから、郊外といっても千差万別ある。)

そうゆう理由から、どこかに行きたいと思う気持ちが、いつも心の中に渦巻いていた。

 

さらに、そのどこかが、目新しいものに溢れていたらいいと思っていた。

今まで自分がみたことのないなにか、びっくりするようななにかがあったらいい。

 

田舎暮らしになっている今は、そうゆうことに胸を躍らせていたのが不思議なくらいなのだけれど、昔は本気で、そのような生活を夢見ていた。

 

そしてIKEAはそうゆう生活にすごくフィットしているブランドだった。

 

IKEAが日本にやってきたのはいつ頃のことなのか、詳しくは知らない。

2000年代だったろうか。

 

最近、90年代の古い雑誌の中に、IKEAの見開きの広告を見たときは、当時抱いていた、あのモダンな生活に憧れる気持ちが、ふつふつと蘇ってくるのだった。

 

 

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出典:Marie claire N°1-JUIN91-TRIMESTRIEL

正直、この中のどこにIKEAの商品があるのか、特定できない。

 

中年夫婦がセカンドハウスでモダンな家具に囲まれている。

 

とにもかくにも、1991年のフランスの女性向け創作推進雑誌の2ページ目にこの、イメージ写真と、以下の文面が載っていることは、80年代後半生れの郊外育ちの微妙な心情を思い起こさせるきっかけになったのだった。

 

美しいものは、高くつく、そのために、あなたの気持ちも台無し。

IKEAは、あなたの考えるデコレーションを実現します。

古いスタイルから、モダンなスタイルまで。

今までにない価格で、そのすべてのイメージを、時間をかけることなく、つくりあげることができるのです。

IKEAのお店では、その場でサイズや大きさ、イメージをカスタマイズすることができます。

あなたの家を本当に美しいもので飾ること、それはデコレーションのベースでもあり、ときにわたしたちが忘れがちな、精神でもあります。

 

IKEAへようこそ。

 

色々なものが同時に手に入る時代は、どうゆうわけか、今も昔も夢をみさせてくれる。手に入るものが、目新しくて、高くなかったら、それほどいいことといったらない。

 

お金のない田舎暮らしでも、お金がある田舎暮らしでも、安心価格でカスタマイズできるIKEAはすべての人に平等でもあるといえる。

 

そこに満足感を得られるのは間違いないのだけれど、いろんなことが揺らいでいる今の時代に、どうゆうものを選択していくのかという、根本的なスピリットが乗っかってくるのが、現代のおもしろいところでもある。

 

そうゆう新しい世界の中で、行き場を失っていると、些細な糸巻きのデザインがなんだかまた目新しく見えたりして、心をくすぐる。

 

最近古市場でみつけた糸のマカロンのデザインが、なんとなく今の心情を癒してくれるのは、どうしてだろうか。

 

見るもので心が癒されるという意味では、古いものがとても有効なのだというのが、歳をとってわかった、ひとつの生き方だった。

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