教室にも
学校にも行かず
たったひとりで
思い通りの服を
つくれるようになりたい
という思いで
中古 ミシンを
購入した日から
3年
が
経った
たったひとりで
洋裁を
本格的に
学ぶ
場合、
3年
という月日で
一体、
どれくらいのことが
できるようになるのか
ここでは、 いくつかの 「できるようになったこと」
を
具体的に
記して
みようと思います
3年洋裁独学で できるようになったこと その1
簡単な型紙を製図できるようになった
洋服の"設計図"
ともいえる型紙を
ある程度
自分の思い通りに
描けるようになることで
ふたつの大きな変化があった
ひとつは
もう型紙を買う必要がなくなった
ということ
型紙をえらぶこと
その行為を楽しんでいるうちはいいのだけれど、
私販の型紙というのは、
サイズをカスタマイズすることができない
という
大きな 欠点がある
サイズなんて、だいたいでいいんだ
という場合は、
既成の型紙でもいいのだが、
自分、または、誰かの体に合った服をつくる
という場合
既成の型紙は頼りにならない
3年間の洋裁独学の末、このような状況において求められる
型紙の製図
の基本的なことが
できるようになって、
簡単なオーダーメイドのもの
だったら
採寸、製図、縫製
の行程を
すべてひとりで行うことが
できるようになった
製図を習得する
もうひとつのメリット
は
服の消費量が格段に減る
こと
これは、 製図をするようになってから
つくづく 実感していることで
なぜか
と考えてみると、
単純に
製図に時間を費すようになったから
だと思っている
製図を学ぶメリット
というと、
思いのままに服がデザインできるようになること
という風にうたわれることが多いけど、
残念ながら私の場合
3年経ってもまだ簡単なものしか
製図することができない
服をデザインし、そのデザインを
服の設計図に反映するには
3年以上の時間、が必要に感
じる
しかし、3年間ひとりぼっちで製図に
向き合っていると、
服を縫っている時間よりも
製図に費す時間の方が
格段に長い
ことを痛感する
いいかえれば、
一着の服を仕上げるための労力と時間について
否応なしに、敏感に
ならざる負えなくなった
ということでもある
すると自然と
自身が着る服にも
"服は1日にして成らず"
という、
何ともおそれ多い気持ちが生まれる。
服の量などは、にの次で
なによりも 、
一着の服を大事に着たい、
という
精神に重きをおくようになったのは
製図にかかる時間を自身で
体感したから
であり
これが、
学校や教室の場合
事情が大きく
違うかもしれない
特に、学校のような
職業訓練的に
洋裁を学ぶ場合は、
効率が優先されることは多いに
あるだろうし
時間以内に仕上げることが
最低限のルールであるのも
想像できる
ひとりぼっちの洋裁独学に限っていえば、
そのようなしばりが'
一切ない
むしろ、
失敗したりまわり道したりの
連続である
これは効率とは真逆の精神で、
だからこそひとりぼっちの洋裁独学が
スリリングである所以
かもしれない
3年洋裁独学でできるようになったこと その2
様々な縫製技術を習得できた
洋服づくりの3大プロセス
デザイン、製図、縫製のうちの、
縫製の分野においては
圧倒的に、 手でおぼえること
が主になるのだが、
ひとりぼっちの洋裁独学では
この
技術の習得が
思いの他、
難しい と実感したのは、
独学を始めて、間もない頃だった。
例えば、 ズボンの縫製では、
3つの縫製技術が必要になる
- 折り伏せ縫いの技術
- ボタンつけの技術
- ウエストベルトの組み立てと縫製の技術
ひとりぼっちの洋裁独学では、
参考書や、動画で
これらの技術を習得することになり
ほとんどみようみまねで
手を動すことから始まる。
わたしは、はじめのうち、 同じようなズボンを
7~8着つくって
やっとズボンの縫製が
なんとなくできるようになったな
という気がした。
できるようになったというのは具体的にいうと
何も見なくても、 ひと通り、 縫えるようになった
ということで、 ミシンのとなりに、いつも
参考書や
動画チェック用のパソコンを
ひろげておかなくても
手と頭で、縫製ができるということだ。
学校などは、この技術の習得を
手助けしてくれる
先生の存在があり
どうやったらうまくできるか
どうやったらきれいにできるか
というのを、 練習生たちに寄りそって、 おしえてくれる。
ひとりぼっちの洋裁独学の場合、このような
たよりにできる存在に
現場で直接的におそわる
ということができない
ので
自分で、ああだこうだと考えながら
手を動かすしかない
うまく、きれいに仕上げるためのコツ
というのは、 経験でしか習得できず
その経験は、 いわずもがな
何度も繰り返すことだった
3年間の洋裁独学では、
1回やっただけではおぼえられないことを
何度も練習し
手でおぼえる期間であったともいえる
手でおぼえることは、
頭でおぼえることでもあり
手と頭に入った技術は
洋裁独学3年でできるようになったこと その3
服のデザイン画を描けるようになった
洋裁の独学を本格的に始めるにあたって
初めて買ったES MODEのテキストセットの中に
服のデザイン画の描き方メソッド
というのが入っていた。
当時 服のデザイン画の必要性について
まったく
無知だったのと、
服をゼロから作る工程で
デザイン画がはたす役割など
正直どうでもよく
ただ服がつくれるようになりたい
という、 即物的な欲求が強かったこともあり、
デザイン画の本は、半ば葬られていた
しかし、
工業生産を軸に量産される既成服ができるまでの工程
というのを、少しほり下げて学んだ機会に
服のデザイン画が、
服作りの 土台になるということを知り
デザイン画は
洋裁独学の中の
ひとつの分野
であることを意識した。
正直疑心暗鬼だったけれど
テキストをひらいてみると
大きな発見があった
デザイン画の描き方で学ぶ主な題材は
- 人間の体の描き方
- 人間に服を装着させる流れとその描き方
- 服の細部の描き方
の3つで
絵心のような芸術的資質は
ほとんど求められず
むしろ
機械的に形をつくっていく
という作業であることがわかった。
このように、デザイン画にしても製図にしても
洋裁独学の意義というのが多様
に広がりをみせたことは
3年間のひとりぼっちの洋裁独学の
大きな収穫だった
ひとりぼっちの洋裁独学が
ただ服を完成させることを目的にした学び
ではなく
であるとわかると、
独学の楽しみはさらに大きくなる